日本ではあまり知られていないアメリカのポテト

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日本では「馬鈴薯」や「メイクイーン」といったじゃがいもの種類が人気を集めているように、アメリカでも人気のポテトがいくつかあります。
たとえば、よく料理につかわれているポテトは、日本の男爵イモに近い外見を持つ「アイダホ(Idaho)ポテト」。これは「ラセット(Russet=褐色)ポテト」と呼ばれており、でんぷん質が多くて皮が薄いため、皮付きのまま食べられるという特徴を持っています。
メイクイーンに似ている長細いポテトは「ユーコン・ゴールド(Yukon)ポテト」。こちらは「ゴールドポテト」「イエローポテト」と呼ばれており、しっかりした風味がありながらも後味はあっさり。煮崩れしにくいため、煮物料理などに使われることが多いようです。
また、天然の淡紅色の皮が特徴のポテトは「レッド(Red)ポテト」。ねっとりとして濃い味が特徴。サラダや、ロースト、ボイルすると味が引き立ちます。
さらには、皮がダークブルー、中身は濃い紫色のポテトもあります。これは「ブルーポテト」と呼ばれており、「オールブルー」や「パープルペルービアン」という種類が主流。珍しいポテトですが、実にはナッツのような風味があり、昨今は料理の色どりにも使われることが多いようです。

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「フローズンポテト」と「ディハイポテト」

日本ではあまり知られていないアメリカのポテト

 現在アメリカのポテトは一部のポテトチップス用に輸入されていますが、残念ながら一般向けには入ってきておりません。
アメリカから輸入するポテトは「フローズン(冷凍=Frozen)ポテト」や「ディハイ(乾燥=dehydrate)ポテト」といった加工をした業務用のものが主流になります。フローズンポテトは、加熱処理をしたポテトをそのまま冷凍で保存したもの。日本では「冷凍ポテト」などと呼ばれていることが多いです。「冷凍ポテト」にはフライドポテトやマッシュポテト、スライスポテトなど、さまざまなかたちに加工されたものがあります。
ディハイポテトは、乾燥加工されたポテト。乾燥ポテト(乾燥ポテトフレーク、乾燥ポテトパウダー)などと呼ばれて、日本で扱われています。風味を損なうことなく、フレーク状に加工されており、さまざまな食材に練り込むことでポテトの風味を足すことができるのです。
実は日本市場の「フローズンポテト」と「ディハイポテト」のうち、80%はアメリカ産という圧倒的なシェアを誇っています。
日本ではあまり知られていないアメリカのポテト

アメリカの「フローズンポテト」は固形分が多く、糖度が低いものを使っているため、栄養価も高く、調理後の質感が良いという評価を集めています。もちろんFDA(食品医薬品局)および米国農務省の規格を満たしているため、安全性も十分。世界一の品質を誇っていると言われています。調理しやすく、安価なため、ファストフードチェーンやレストランチェーン、あるいは高級レストランでも広く用いられているようです。また、アメリカの「ディハイポテト」は、ポテトを丸ごと使用しているため、栄養価も品質も極めて高いものになっています。じゃがいもが凝縮しているため、1キロの「ディハイポテト」を戻すと5キロのじゃがいも加工品がつくれるという効率の良さもあります。水分保持率がとても高いため、「ディハイポテト」をパンの生地に混ぜてから焼くと、しっとりとした柔らかいパンをつくれるのです。このように、アメリカのポテトは姿を変えて、私たちの食卓にアメリカの味を届けてくれているのです。

切っては切れない
アメリカとポテトの歴史

日本ではあまり知られていないアメリカのポテト

「じゃがいも」の原産地は、南アメリカのアンデス地方だといわれています。かつて大航海時代に、スペインの人々がその土地を訪れたとき、アンデスの農民は約3000種類ものジャガイモを栽培し、長期保存をするための方法を知っていたそうです。彼らはジャガイモを夜間の冷たい空気にさらし、昼間の光で溶かすことによって冷凍乾燥法を実現したそうです(なお、この手法を牛肉に転用した方法が「ジャーキー」のはじまりだと言われています)。
南アメリカで発見されたジャガイモはヨーロッパへ持ち込まれ、ヨーロッパ中の食糧事情を改善しました。

日本ではあまり知られていないアメリカのポテト

ジャガイモは3~4ヵ月で成熟し、生育に世話と手間がかかりません。また、1ヘクタールの畑から750万カロリーもの栄養価が得られるのです(小麦粉は420万キロカロリー)。
18世紀に入りジャガイモはアイルランド移民の手により、アメリカへ渡ります。そして、アメリカ独立戦争における兵士たちの胃袋を満たす食糧源となったのです。
南アメリカ大陸から生まれた「じゃがいも」が世界の食卓を変え、そして世界を一周して再び北アメリカで愛されるようになる。「じゃがいも」を食べるときは、そんな歴史を感じながら食べると、より一層味わい深いかもしれません。

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